2017年SUV販売台数No.1、そして同年グッドデザイン賞を受賞したトヨタC-HR。
「我が意の走り」とコンセプトされたこの車は、車の本場でもあるヨーロッパの道を徹底的に走り込んで鍛え上げられた走行性能が売りです。
しかし、走りが磨かれた分、気になるのは燃費です。
あちらが立てばこちらが立たず、高い走行性と燃費の両立は可能なのでしょうか?
というわけで、トヨタ C-HRの燃費と実燃費を検証していきます!
目次
トヨタC-HRの燃費はどう?

引用:https://toyota.jp/c-hr/
燃費を大きく左右するのはエンジン性能です。
トヨタC-HRのラインナップには二種類のエンジンがあります。
一つは1.8L+ハイブリッドで、もう一つは1.2Lエンジン+ターボです。
さらに1.2Lには2WD/4WDという選択肢があります。
乗る人がどのような走りを求めるかによってエンジンの選択は変わってきますが、まずはザックリとC-HRのエンジンの性能と特徴を見ていきましょう。
1.8L+ハイブリッド
【エンジン性能】
エンジン:直列4気筒
排気量:1.797cc
馬力:98PS
トルク:14.5kgm
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
【モーター性能】
モーター最高出力:72PS
モーター最高トルク:16.6kgm
1.8Lエンジンには、トヨタの看板である「ハイブリッド」が搭載されており、1.8Lとモーターの組み合わせの総合出力は122PSとなっております。
この数値を見ますとモーターの方がトルク値が高いので、車の発進や坂道などガソリンを使う場面において、モーターがサポートしてくれます。
またこのモーターはプリウスと同じ1NM型で、エンジンもプリウスと同じ型の2ZR-FXEを搭載しており、他の車種であればレクサスCT200hやカローラスポーツハイブリッドなどのハイブリッドモデルに特化したエンジンですので、実質「プリウスのSUV版」と認識している方もいるみたいです。
何より特筆すべき所はこのエンジンの熱効率が38.5%と業界最高水準の熱効率だということです。
一昔前まではエンジンは熱効率が20%ほどだったのですが、現代は38.5%まで上げることができたのは技術の進化を感じさせます。
ハイブリッドモデルの特筆すべき部分はやはり、エンジンのフィーリングにはない、モーターの息継ぎのないスーッと伸びていく加速感が味わえるところです。
直噴1.2L+ターボ 2WD/4WD
基本的に2WDと4WDのエンジンは全く変わりません。変わるのは駆動輪だけです。
【エンジン性能】
エンジン:直列4気筒インタークーラー付ターボ
排気量:1.196cc
馬力:116PS
トルク:18.9kgm
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
このエンジンは燃費の性能を上げるためにトヨタが開発した最新のダウンサイジングエンジンになります。
型番は8NR-FTSで同社のオーリスやカローラスポーツに搭載されているエンジンです。
このエンジンはC-HRのハイブリッドに搭載されている2ZR-FXE型を超えるトルクを生み出しており、また同社の初のダウンサイジングターボエンジンでもある、2ZR-FAEエンジンよりも高いトルクと燃費効率は20%向上という性能を出しており、非常に優れたエネルギー変換がされているエンジンです。
なぜ近年ダウンサイジング化によるターボ車が増えたのかと言いますと、燃費が良いのと同時にパワーも生み出せるからです。
ダウンサイジングとはまずエンジンを直噴にすることで、排気量を上げるよりも効率よくエネルギーを生み出し、ターボでパワー増幅させる仕組みです。
またターボがあるので、排気量を上げる必要がないためエンジンの部品が少なくなり、結果、軽量化されるので燃費が上がる仕組みとなっております。
なので直噴エンジンとターボが良くペアなのは、この二つはとても相性が良いからなのです。
C-HRのターボエンジン車はやはり、ハイブリッドモデルには無い内部燃焼とターボのパワフルな加速感が体感できます。
またNAにはない、ターボ特有のトルク感もこの車では存分に楽しめるでしょう。
では次から詳しく「燃費・実燃費」を見てみましょう。
トヨタC-HRの実燃費と燃費確認の情報

引用:https://toyota.jp/c-hr/
各メーカーたくさんの研究を重ねて、より良いエンジンを作り出し、一切のエネルギーを無駄にしないようにと日々開発を進めております。
しかし、このC-HRは他の同クラスのSUVと比べて燃費がかなり良いと言われています。
その理由を見ていきましょう。
1.8L+ハイブリッドの燃費と実燃費は?

引用:https://toyota.jp/c-hr/
メーカーが公表している燃費は次のような画像となっております。
この数値だと30.2km/Lとなっていますが、一般的にJC08モードは公表している燃費の2~3割ほど低下すると言われており、実燃費とは異なります。
少し余談ですが、最近ではJC08に変わる「WLTCモード」というのが、日本では2018年10月から日本全土に義務化されることになりました。
JC08では実燃費との乖離があると言われているため、改めてこの「WLTCモード」が導入されることとなりました。
JC08よりも厳しいテストになり、普段我々が日常で使う燃費に近い数値となるため、JC08モードより現実的な数値となったのがWLTCモードです。
残念ながらまだこのC-HRは認可が下りていないためJC08モード表記ですが、今後発売されるC-HRにはWLTCモードが表記されるのでその時まで待ちましょう。
では、話を戻しまして「実燃費は?」というのが一番の疑問になるわけです。
本当のところの1.8L+ハイブリッドの実燃費は、
街乗り;20~23km/L
高速;24〜27km/L
同クラスのSUVの中では非常に優秀な数値ではないでしょうか。
寒冷地や真夏、真冬でエアコンや暖房を着けても、これほどの燃費を維持できるので非常に優秀ではないでしょうか。
もちろん運転の仕方にも寄りますが、急ブレーキ、急ハンドル、急発進をしなければ実燃費は20km/L以上はキープが可能ということになります。
1.2L+ターボの2WD/4WDの燃費と実燃費は?

引用:https://toyota.jp/c-hr/
では、今度は1.2Lエンジン+ターボのメーカー値を見てみましょう。
2WDと4WDの燃費の差は1km/Lと非常に優秀な数値です。
その差を埋めている理由はこのC-HRには「ダイナミックコントロール4WD」を採用しており、他のトヨタ車であればハリアーに搭載されています。
どのような仕組みかと言えば、電子制御で2WDか4WDの切り替えをしており、路面の状況を感知してそのトルク配分を自動で制御しています。
雪道や雨で滑りやすい状況になると、最大50:50でトルクの配分を行い、舗装された道では、基本2WDで走るので燃費に向上に繋がっています。
この「ダイナミックコントロール4WD」は「一般生活用の4WD」なので、岩や砂道などの悪路などには向いていないです。
しかしその分の機械的な重さが無いため、C-HR S-Tの2WDの車重が1.675kgで、4WDは1.745kgとその差が70kgなため成人男性1人分の重さの差なので燃費に大きな影響を与える数値では無いでしょう。
では、2WD/4WDの実燃費はどうなのかと言いますと、
街乗り;9~14km/L
高速;15〜18km/L
ハイブリッドモデルと比べてしまうと劣るように見えますが、ダウンサイジングによるターボ化により排気量が小さくてもパワーが出る車ですので、同クラスのSUVの中ではなかなかの成績でしょう。
走行モードによる燃費の違い
C-HRには全てのモデルに三つのドライブモードがあり、走るシーンによってその選択ができます。
画像の上から「スポーツモード」「ノーマルモード」「エコモード」とあります。
通常の走行であれば「ノーマルモード」で、カーブの多い峠や車の性能を楽しみたい場合は「スポーツモード」が適していますが、今回は燃費という話なので燃費を中心にお話ししますと、燃費が一番良いのはもちろん「エコモード」になります。
ハイブリッドモデルでエコモードに入れますと、アクセルのレスポンスが緩やかになるので、加速もゆったりになります。そして極力EV走行をするようになります。
EV走行はバッテリーの状況や路面状況にもよりますが、高速でも街中でも燃費良く走ることのサポートをしてくれます。
またハイブリッドモデルはEVモードがあり、エンジンを使わずにモーターだけで走ることも可能です。
ターボモデルでもハイブリッドモデルと同じように、アクセルのレスポンスが緩やかになるので、ターボが掛かるまでに少し時間が掛かるので、燃費の向上をしています。
全モデル、高い燃費性能を出すのであれば、このエコモードにすることを推奨します。
デザインも燃費の良さの一役を買っている

引用:https://toyota.jp/c-hr/
冒頭でも述べましたが、ここ最近SUVの人気が非常に高くなっております。
車の燃費はエンジンやモーターの性能はもちろんなのですが、実は「デザイン」も燃費に大きく関わっています。
この車の最大の特徴は「2ドアクーペ」のような流れるようなボディデザインです。
サイドはダイヤモンドカットのような多面的に表現し、フロントはトヨタのブランドイメージでもある「キーンルック」を採用しております。

引用:https://toyota.jp/c-hr/
実はC-HRは見えている部分のボディのデザインだけではなく、ボディ下の空力のデザインがされており、ボディ下の空気を上手に後ろに流してあげることで、空気抵抗を減らし燃費の向上にもなります。
「見える部分」のデザインでもある、リアスポイラーはボディの後ろに無駄なく空気を流し、サイドスポイラーも同じように空気を流すことでリア部分で空気の渦を巻かないようになっておりますが、「見えない部分」のボディ下の空力デザインもしっかりとその役目を果たしております。
実はリア部分で空気の渦が生まれてしまうと、それだけで空気抵抗が起きてしまい、空気の渦が車を後ろに引っ張ってしまうので、前に進む力のために必要以上のパワーと燃料を使ってしまい、燃費が落ちてしまうのです。
ボディ下は「第6面」と言われており、フロント、左右のサイド、リア、ボディ上、そしてボディ下となります。
この「第6面をデザインされている」というのは、元々FIなどの技術なので、このC-HRもしっかりとされているということはそれだけ走りにこだわり抜いているということです。
近年のF1やル・マン24時間は「いかに速く走るか」ではなく「いかに燃料を使わずに速く走るか」なので、トヨタはF1やル・マン24時間などに参加しているため、そのノウハウや技術がふんだんにこの車には盛り込まれているわけです。
エンジンやモーター、バッテリーなどで燃費の良くしていくことは他のメーカーでもしっかり行なっていることですが、デザインから見直し走りを追求していくことが、この車のコンセプトでもある「我が意の走り」に繋がっているわけです。
C-HRは徹底した走りへのこだわりから全体のボディデザインを行い、しっかりとボディ下の見えない部分の空力デザインがされていることで「機能美」として成り立ち、スタイリングはもちろん、走りの良さと燃費の両方の実現のために一役買っているのです。
トヨタC-HRの燃費は向上しているのか?

引用:https://toyota.jp/c-hr/
結論から言いますと、C-HRの全モデル「燃費は向上している」と言えます。
もう少し踏み込んだ言い方をしますと「C-HRはこれからもっと燃費は向上する」と言えるでしょう。
何故なら、C-HRは発売かまだ2年も経っておらず、エンジンや駆動に関するマイナーチェンジなどはまだないため、C-HRはまだ成長段階だからです。
またトヨタはハイブリッドを主戦場としているため、これからもトヨタはハイブリッドの研究を進めていくため、トヨタ全車が燃費の良さの底上げされ、より低燃費な車が販売されるでしょう。
世界で初めてカメラが出来た時、絵画よりもリアルに写せることが可能になり、何千年と絵が描かれていた歴史が本当に大きく変わりました。
一つの技術の発展というものは世界を大きく変える力があり、カメラの例えのように、EVの技術発展(モーターやバッテリーなど)は燃費が本当に大きく変わるでしょう。
C-HRもその一台に含まれており、現段階でもC-HRのハイブリッドモデルはSUVの燃費の中ではトップレベルです。
これからの技術の発展や進化に期待値を込めて、C-HRの燃費は向上していると言えるでしょう。
アイキャッチ画像引用:https://toyota.jp/c-hr/