トヨタ製のミニバン・ノアは、ハイセンスなデザインと手頃な価格により兄弟車であるヴォクシー・エスクァイアと並んで売れ筋の人気車ながら、実は不具合報告も少なくない車種なのです。
今回は、ノアの不具合報告にはどのようなものがあるのか、またそれらの問題についてのトヨタの対応状況など、現行モデルのノアの不具合情報・リコール情報をまとめてみました!
トヨタ・ノアの不具合報告状況は!?
モデルチェンジを重ねるたびにエンジン周りの脆弱性は着実に
改善されてはいるようなのですが、比較的安価な車両ということも
理由の一つなのか、問題の報告数自体は決して少ないとは言えません。
2014年に発表されてから2018年9月現在も継続して販売されている、
現行モデルのノア新車で購入した人々のレビューの中でも
報告されている不具合には以下のようなものがあります。
- フロント、エンジン、ダッシュボードからの異音
- 不安定なアイドリング
- アイドリング中のエンジン停止
- トヨタ製のCVTのベルト鳴き
- トヨタ製CVT特有のキックダウン
- 車内でもはっきりと感じられる振動
- 不安定なハンドルの操作性
- ブレーキの引っ掛かり
- スライドドアからの異音
- スピーカーから音が出なくなる
- LEDテールランプの球切れ
人気車種で数が出ている分不具合報告も多くなりがちなのは
当然と言えば当然ですが、ざっと見ただけでもこれだけの長さの
リストができてしまいました。
型落ちとなったノアを中古で購入することを考えている場合、
ノア60系と呼ばれる初代ノアとヴォクシーは、問題の発生頻度が特に高いと
言われているので契約の際には車の状態に細心の注意を払う必要があります。
インターネット上でよく見かける50〜60万円以下の車両は
エンジンのオーバーヒートやエンジンをふかすと発生する大量の白煙などの
問題が多く、誠実な中古業車では取り扱いを避ける場合が多いそうです 。
トヨタ・ノアのリコール情報・改善対策はどんなものがあるのか?
リコールとは、自動車の設計や生産過程の問題により安全性能が国土交通省の
定める基準に適合しなくなるおそれがある場合または適合しないことが発覚した
場合に、メーカーが問題のある自動車を回収し無償で修理を行うことを指します。
それに対して改善対策とは、自動車の性能自体は基準を満たしているものの、
自動車の設計や生産過程が原因で安全上または公害防止の視点から放置できない
と判断した場合に、メーカーが問題のある自動車の無償回収・修理を行うことです。
リコールも改善対策も実施する際には国土交通省にその旨を報告する義務があります。
また、単純に商品性の改善のためにメーカーが修理を行う「サービスキャンペーン」
というものも存在しますが、サービスキャンペーンの場合は代金が発生する場合があります。
トヨタ公式ウェブサイト上で確認できるノアのリコール情報については、
以下の通りです。
また、2018年1月から9月中旬の現在まででノアに関するリコール・改善情報は
ありません。
2017年3月
助手席用エアバッグの膨張装置(インフレーター)が温度・湿度次第で
著しい劣化を起こし、エアバッグ展開の際にインフレーター容器が
破損する恐れ
対策:該当車両に予防的措置としてエアバッグインフレーターもしくは
エアバッグアッセンブリを改良品と交換
2016年10月
助手席用エアバッグの膨張装置(インフレーター)が温度・湿度次第で
著しい劣化を起こし、エアバッグ展開の際にインフレーター容器が
破損する恐れ
対策:該当車両に予防的措置としてエアバッグインフレーターもしくは
エアバッグアッセンブリを改良品と交換
2014年10月
対象形式車のデリバリパイプ(原動機の燃料配管)の燃圧センサー締結面の
平滑度が不適切なため、規定トルクで燃圧センサーを締め付けても締結力が
不足している恐れ
対策: 該当車両の燃圧センサーの平滑度の不適切な締結面を研磨、
ガスケットを新品との交換
制動装置のブレーキマスターシリンダーにおけるシール構が
不適切な形状をしていることが原因による、ゴム製シールへのダメージが発生する
恐れ
ゴム製シールへのダメージが深刻化した場合にはブレーキ液漏れ、警告灯の
点灯、制動力低下につながる危険性有り
対策:該当車両のゴム製シールを対策品と交換、ブレーキ液漏れがすでに
発生していた車両についてはブレーキブースタも同時に新品と交換
2013年4月
助手席用エアバッグの膨張装置(インフレーター)が温度・湿度次第で
著しい劣化を起こし、エアバッグ展開の際にインフレーター容器が
破損する恐れ
対策:該当車両に予防的措置としてエアバッグインフレーターもしくは
エアバッグアッセンブリを改良品と交換
2011年1月
エンジンの燃料パイプにおいて加工に制度にばらつきがあり強度評価が不足している
ものがあり、条件次第では燃料中の成分がパイプへの亀裂につながり
燃料の圧力変動により症状が深刻化すると燃料漏れが発生する恐れ
対策:対象車両の燃料パイプを対策品と交換
エンジンの高圧燃料ポンプにおけるチェックバルブ(逆止弁)締結部ガスケットの
シール性不足により、長期間の使用ではチェックバルブ締結力が低下する可能性と
それによる燃料漏れの恐れ
対策: 対象車両のチェックバルブおよびガスケットを対策品と交換
2008年4月
2WDの車両限定
燃料タンクの車体への取り付け方法が不適切なため、走行時の反動によって
燃料タンクのボルト部付近に亀裂が発生し、深刻化すると燃料漏れに
つながる恐れ
対策:対象車両の燃料タンクを再取り付けと緩衝材の追加、燃料タンクに
すでにダメージがある場合は燃料タンクを新品と交換
クルーズコントロール仕様車限定
エンジン制御コンピュータのプログラムが不適切なため、クルーズコントロール
走行時にアクセルペダルを大きく踏み込んだ場合にシステムの誤判断により
エンジン警告灯が点灯しエンジンが停止する恐れ
対策:対象車両のエンジン制御プログラムのアップデート
2005年9月
駐車ブレーキペダルの踏み代調整ナットにおいて、締付けが不十分なため
固定ナットと調整ナットが緩んで駐車ブレーキペダルの踏み代が不適当に
増加してしまうものがあり、最悪の場合は駐車ブレーキが作動しなくなる恐れ
対策:対象車両のナットの締付け状態の点検、緩みがある場合は規定トルクで再締付け
トヨタ・ノアの不具合とリコール対応状況

引用:https://toyota.jp
トヨタのウェブサイトのリコール情報ページでは、
自動車検査証(車検証)に記載されている車体番号を入力すると
自分の所有するノアがリコールの対象車かを簡単に知ることができます。
ノアの数あるリコールの中でもタカタ製エアバッグの不具合は
緊急時の安全性に非常に大きな影響を及ぼす重要の高い問題であるため、
トヨタのリコール情報についてのトップページに記載されています。
リコール対象車を所有していてなおかつリコール作業が完了していない場合は
速やかに販売店に連絡をしリコール作業の日程についての相談をしましょう。
2001年11月〜2007年5月の間に販売された初代ノアでこのリコール作業を
未実施の車両は2018年5月以降車検が通らなくなりました。
また、2010年3月〜2013年6月までに出荷されたノアで紫外線による
LEDテールランプの異常劣化が確認されているリアコンビネーションを組付けた
対象車両の保証期間を新車登録日から3年または6万km以内から新車登録日から
9年以内に延長し、LEDテールランプを改良品と交換しています。
そもそもトヨタ製の車両は、たとえ新車でも他の大手国産メーカーの部品と比べ
脆弱で、問題も起こりやすいということは車業界では有名だそうです。
トヨタ製ミニバンの中でもヴォクシーと並んでエントリークラスである
ノアは、悲しいことに車の所有者も手入れにお金や手間をかける人が
あまり多くないこともエンジンの痛みや劣化が進みやすい理由の一つです。
2017年に行われたマイナーチェンジでも、当てられた予算のほとんどを
デザインに充て、残りを(主にハイブリッド車の)静粛性の強化に充て走行性能や
安全性能は後回しにしている印象がぬぐえません。
もともと運転が好きでなおかつノアの外観が好みという人々にとっては、
ノアのこの商法には少し残念な気分にさせられてしまうかもしれませんね。
アイキャッチ画像引用URL:https://toyota.jp/noah/